[04]弁護士の収入体系

平成25年9月4日

弁護士  藤野 恵介

答え

給料制,歩合制から独立採算制まで様々です。

1 事務所規模による分類

皆さんは,どのようなイメージをお持ちでしょうか。

そもそも法律事務所には,弁護士1人と事務員という構成の事務所(通称「ひとり事務所」)と弁護士複数名と事務員という構成の事務所とがあります。

ひとり事務所の弁護士は,当然ながら独立採算ですが、弁護士が複数名在籍する事務所の場合,その取り分のありかたは様々です。事務所を立ち上げた弁護士(通称「ボス弁」)が経営者として収支を管理し,雇われ弁護士(通称「アソシエイト」)に給料を支払う形態もあれば,複数の弁護士全員が共同経営者(通称「パートナー」)として独立採算で働いている場合もあります。

当然ながら,上記両形態が混在している事務所もあります。その場合,事務所内に経営者弁護士と給料を貰っている弁護士という2種類の弁護士が混在することになります。

2 従来からの新人弁護士の働き方

多くの新人弁護士は,まず,アソシエイトとしての就職先を探します。そして,どこかの事務所で給料を貰いながらボスやパートナーの下で仕事を覚えていきます。そうして何年か修行した後,独立して自らボスになっていくのでしょう。

3 新人弁護士の就職難?

これまでは,とりあえず就職して修行するという流れがありましたが,昨今の弁護士増員により,法律事務所に弁護士を受け入れる余裕が無くなりました。ここでいう余裕とは,事務所の広さといった設備面での余裕だけではなく経済面での余裕も指します。つまり,何人ものアソシエイトの給料を支払う余裕のある事務所が少なくなっているということです。

4 新たな働き方の誕生

このような状況下では,新人弁護士は給料を貰うことが期待できません。そこで,一部の新人弁護士が独立採算で働くことを覚悟し始めました。現在,サラリーマン志向から起業家志向への意識改革が起こりつつあります。本来,弁護士というのは「一匹狼」「自由業」ですので,その意味では,本来の姿に回帰しているとも言えそうです。

5 自分の話

私も登録直後から独立採算で働いてきました。ただ,幸いなことに弊事務所に経費負担なく置いていただくことができましたので恵まれていました。

起業当初は,収入面での不安もありました。ただ,これは経営者であれば当たり前のことですし,当コラムを読んでくださっている皆様にとっても日々抱えておられる不安なのでしょう。経営感覚というほど立派なものではありませんが,サラリーマン弁護士とは違い,経営者の方々と共感できる点が多々あることを実感しています。自分の選んだ働き方は,近道だったのではないかと感じ始めています。

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。