[08]弁護士費用の相場

平成25年12月12日

弁護士   藤 野  恵 介

答え

着手金8%+報酬16%です。

1 内訳

弁護士に支払う費用のうち,最初に支払うものを着手金,最後に支払うものを報酬金といいます。着手金は,成果があったか否かに関わらず,弁護士が仕事に着手したことに対して支払う費用です。それに対して,報酬金は,成果があった場合に支払う費用です。このほかに,切手代,印紙代及び交通費等の実費が必要になります。したがって,着手金,報酬金及び実費が最低限必要になります。

案件の内容によっては,出張費や日当といった費用が別途請求されるかもしれませんが,そこは各々の契約内容によります。依頼する際には,着手金,報酬金及び実費のほかに費用が生じるのであれば,どういう費用が必要になるのか,納得できるまで説明を求めるべきです。

2 算定方法

高くとも,着手金は「請求額」の約8%(ただし,最低額10万円),報酬金は「得られた額」の約16%と考えておけばよいでしょう。これは,旧報酬基準といわれるもので,規制緩和の観点から撤廃されたものですが,多くの弁護士はこの基準で費用の話をします。近年は,弁護士業界にも競争原理がはたらき,価格競争が始まっていますので,この基準よりも低い額で仕事をする弁護士が増えています。その意味で,上記の算定方法で計算された額が高めの額と考えてよいでしょう。

3 支払方法

原則は,着手金は着手時に,報酬金は事件終了時に支払うものです。実費も,大まかな額を予納するものです。ただし,分割支払を許す弁護士が多数です。また,着手金を低く抑える代わりに報酬の割合を高くする等,柔軟に対応する弁護士が多数ですので,遠慮なく相談ください。

4 安かろう悪かろう?

近年、弁護士業界に競争原理がはたらくようになりました。競争せずに高収入が得られていた弁護士にとっては辛いと感じる時代であるのかもしれませんが、弁護士を利用する側から見れば、費用面についていえば,弁護士を利用しやすくなったことは間違いありません。ただし、安い費用しかとらない弁護士は、費用につりあう時間しか割くことができません。その分、事件処理が雑になってしまったり,依頼者との連絡を密にとる時間が確保できなかったりすることが考えられます。しかし、この点については、高い費用をとっておきながら十分な時間を確保できない弁護士も居ますから、それに比べれば、出費が少なくて済むだけましなのかもしれません。いずれにせよ、報酬の額も様々、広告も様々ですので、利用する側の目と覚悟が重要になります。

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。