[03]弁護士に何を依頼できるか(後編)

平成25年7月30日

弁護士  藤野 恵介

前回は非弁行為についての規定をご紹介しました。今回は罰則規定の紹介からです。

非弁行為についての罰則規定

第77条「次の各号のいずれかに該当する者は,2年以下の懲役又は3百万円以下の罰金に処する。 3号 第72条の規定に違反した者  4号 第73条の規定に違反した者」

第77条の2「第74条の規定に違反した者は,百万円以下の罰金に処する。」

←非弁行為については,決して軽くはない罰則が規定されています。

非弁の暗躍

弁護士法を知ると,弁護士以外には禁止されている業務が意外に多いと感じられるのではないでしょうか。注意していただきたいのは,非弁行為というのは,交渉や訴訟の技術がないなどという前に,法律により禁止され,刑罰を科されうる行為であるということです。

弁護士でなければできない業務を無資格で行っている人は少なからずいます。簡易裁判所の待合室で,おそらく弁護士ではないであろう人が熱心に依頼者を指導しているのを見かけたことがあります。また,法廷の傍聴席から,おそらく弁護士ではないであろう人がバーの中にいる依頼者に指示を出すのを見たこともあります。事務所での交渉の席に,本人ではなく,コンサルタント何某が交渉相手として挨拶に来たこともあります。これらは,おそらく非弁行為です。非弁行為にあたる場合,法廷に入ることもできませんし,当然ながら和解の席にも同席できません。それどころか,逮捕されれば依頼者に助言するどころの騒ぎではなくなります。

弁護士の反省

弁護士から見れば,非弁のような得体の知れない人に相談するのはとてもリスクが高いのに,なぜ弁護士に相談しなかったのかと思いがちです。

しかし,このような状況をつくった原因は,弁護士が営業努力を怠ってきたことにあるのだと思います。日々の生活で困ったときに弁護士に相談できる環境を提供できていれば,事件屋の入り込む余地など無かったはずです。

これまでの弁護士業界というのは,独占業務が法律上認められているのに加えて,弁護士自体の人数が制限されていました。そのような状況では,大半の弁護士は,自分の抱える仕事で手一杯であり気軽な相談に対応できなかったというのもあるかも知れませんが,むしろ,対応する気にならなかったのだと思います。しかし,弁護士業界は変わりました。皆さんもご存知のとおり,政策的に弁護士の人数が増やされたからです。他の業界と同様に競争原理が働くようになりました。今,弁護士業界は,本来弁護士にのみ許されていながら放置してしまっていた業務を取り戻す方向に向かっています。非弁行為に対しても,以前よりも厳しく目を光らせるようになりました。

今では,営業に力を入れる弁護士はたくさんいます。法律相談を無料にしている弁護士もたくさんいます。ホームページで相談受付している弁護士もたくさんいます。ぜひ,気軽に相談していただきたいと思います。

弁護士への相談料については,別の機会に述べたいと思います。

なお,上記弁護士法72条には「他の法律に別段の定めがある場合」についての例外があり,例えば,司法書士,行政書士,社会保険労務士,弁理士,税理士等には,厳密に範囲が制限されてはいますが,一定の範囲で代理等をすることが法律上認められています。