[23]裁判所で扱われるのは訴訟だけなのか

平成27年04月24日

弁護士   藤 野  恵 介

答え 調停もあります。

1 はじめに

先日、裁判所から呼出状が届いたとのことで慌てて相談に来られた方がいました。どうやら離婚調停を申し立てられたようです。その方は、裁判といえば、法廷の壇上に裁判官がおり、そのもとで証人尋問をやりあうというイメージを持っていたようです。

2 訴訟と調停

訴訟は、白黒をつける場です。そうはいっても和解で終わることが多いのですが、それにしても、訴訟の開始当初は白黒をつけようと望んで行うのが訴訟です。他方で、調停は、話し合いの場です。はじめから、何らかの調整を望んで行うのが調停です。また、参加強制の有無という点からは、訴訟は、訴えられた側が放置すれば負けることになります。以前述べました擬制自白があるからです。他方で、調停は、申し立てられた側が放置していても、一部を除き、なんの結論も出されません。もっとも、調停であっても、結論が出されて負けてしまう手続きも一部ありますので要注意です。

3 家事と民事

家事事件とは、家族絡みのものをいいます。離婚や遺産分割が主なものです。家事事件は、家庭裁判所で行われます。冒頭で触れた相談者が申し立てられた離婚調停は、この家事事件にあたります。家事事件は、話し合いを原則としますが、話し合いがまとまらなかった時には、裁判所が判決のように判断するものも一部あります。

4 見分け方

以上のとおり、裁判所を使うといっても様々な組み合わせがあり、使う際には、家庭裁判所を使うべきか簡易裁判所を使うべきか地方裁判所を使うべきか、訴訟が適しているか調停が適しているか、などなど悩むことになります。裁判所から呼出状を受け取った際には、それがどの手続なのかをよく読みとることが必要です。その時点で見誤ると、放置してはいけないものを放置して負けてしまうことになります。ちなみに、冒頭で触れた相談者には、受け取った呼出状は調停への呼出状であり、その手続は法廷での戦いではなく調停室での話し合いであると説明しました。その結果、自身が必要以上に慌てていたことに気づいた様子で、私に依頼することなくご自身で出頭して話し合うことを選択されました。

5 弁護士利用法

裁判所から書類を受け取った場合には、とりあえずご相談ください。無料相談を利用するのでよいでしょう。そこで制度の説明を聞いた結果、ご自身で対応できると判断されればそれでよいと思います。ただ、弁護士は、調停でまとまらなかったときにどうなるか等を視野にいれて行動しますので、何らかのお役には立てると自負しています。

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。

 

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