平成27年06月24日
弁護士 藤 野 恵 介
答え 単なる取引先と考えてください。
1 顧問契約とは
顧問契約とは、弁護士に毎月定額の顧問料を支払って、顧問弁護士として働くことを委任する契約です。多くの顧問契約は、顧問料に簡単な法律相談料を含めています。簡単な法律相談を超える依頼に対しては、別途費用を請求することになります。昔の弁護士会の報酬基準では、月額5万円以上とされていました。企業からすれば、毎月何の問題も発生しなくとも定額の顧問料を支払うことになります。経費をかけたい企業が多い時代には顧問契約の数も多かったようですが、近時は減っていると言われています。なお、現在は、報酬基準は撤廃されていますので、破格の顧問料での顧問契約をセールスポイントにする弁護士もいます。
2 顧問は必要か
これまで、私も、顧問契約の意義を見出せずにいました。顧問の話をいただいても、単発でご依頼いただければ結構ですと対応したこともありました。しかし、最近は、顧問弁護士として寄り添うことそれ自体に、効果があるのではないかと考えるようになりました。
3 具体的事例
企業からクレーム対応の相談を受けることがあります。よくあるのは、クレーマーから、「よく相談している弁護士がこう言っていたからこうせよ」「親戚に弁護士がいて、こう言っていたからこうせよ」というものです。そもそも、クレーマーが弁護士に依頼していれば、弁護士から企業に対して連絡があるはずですので、クレーマー自身が交渉窓口になっている時点で、弁護士に相談したというのは嘘である可能性が高いでしょう。しかし、企業側に弁護士に相談できる環境がない場合、その嘘を見破ることができません。
4 顧問がいれば
この事例の場合、企業側に弁護士に相談できる環境があれば、少なくとも、全て相手の言いなりになるということはないでしょう。クレーマーからしても、企業側に弁護士に相談できる環境があることを知っていれば、「弁護士に相談するぞ」という脅し文句は使えないでしょう。おそらく多くのクレーマーは、当該企業には弁護士に相談できる環境すらないとタカをくくって、クレームをつけているのです。企業側からすれば、弁護士に相談できる環境があることをアピールするだけで、この手のクレーマーは減らせるのかもしれません。
5 顧問の使い方
ホームページ等で、大手の取引先があることをアピールするのと同様に、顧問弁護士がいることをアピールしてはいかがでしょうか。顧問と言っても、単に困ったときに相談できる仲の良い弁護士に過ぎません。単発で依頼することとの違いは、その仲の良さを対外的にアピールできる点です。また、顧問契約の内容次第では、会社役員に近い使い方も考えられるでしょう。
※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。