[50]その悩みは弁護士に相談するほどでもないですか?

平成29年10月19日

弁護士   藤 野  恵 介

答え まずは相談

 

1 いまだに

先日,関西プラスチックフィルム協会創立60周年記念祝賀会にお招きいただきました。私が思っている以上の多くの方々に当コラムをご愛読いただいていることを知り,身が引き締まる想いです。今後ともお付き合い願います。さて,その席上で「今のところ弁護士にお願いするようなことはないですね」「何かあったらいけないけど,何かあれば宜しくお願いします」という言葉をいただきました。これを文字どおり受け取るならば,大問題が発生して初めて弁護士に相談するつもりであると言われたことになります。

2 できること

おそらく,まだまだ多くの方々は,大問題が発生していないのに高い費用を払ってまで弁護士に依頼する意味はないと考えておられるのでしょう。これは,弁護士の広報不足です。弁護士は裁判をするだけではありません。裁判になったときにできるだけ依頼者に有利になるようにという視点で,日頃の業務のお手伝いができます。これは,経営コンサルタントのように売上に直結するものに比べ,地味なお手伝いに見えます。しかし,裁判になっても有利に戦えるという自身があれば,強気の交渉ができるのではないでしょうか。

3 お願い

例えば,買主側からの依頼を受けたとしましょう。買主側は受領した商品に文句があるようです。この場合,依頼を受けた私は,少しでも支払額が減額できるように相手方にお願いすることになります。これは,交渉ではなくお願いです。しかし,当然ですが,理屈のないお願いは聞き入れてもらえません。

4 交渉

他方,同じお願いでも,少しでもこちらに有利な材料があれば、効果がまったく異なります。例えば,受領した商品がこちらの注文した商品と仕様が異なる場合です。このとき,注文書が作成され,最終的に相互に確認した内容が残っていれば,注文した商品の引渡しがないとして支払いを拒むことができます。もし仕様が異なるものでも利用できるようであれば,売主に恩をきせる形で安く引き取ってあげるという交渉もできるでしょう。しかし,証拠がなければ,言った言わないの話になります。証拠がない以上,こちらも強気には出られません。しかも,仕様が異なっても利用できる状況であれば,売主からの引渡しを拒否する理由もなくなります。

5 事前の対応

この場合,事前にご相談いただいていれば,やりとりが残るように,せめてメールでやりとりしておくようアドバイスしたと思います。

 

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。

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