[60]弁護士の使い方

平成30年8月20日

弁護士   藤 野  恵 介

1 御礼

今回で当コラム連載60回目を迎えることができました。毎月,私の拙い文章にお付き合いいただき有難うございます。今後ともお付き合い願います。

2 弁護士の使い方

弁護士の使い方を伝えたいと思い,連載を開始しました。弁護士を使う場面としては,交通事故で保険金を請求する際の交渉の委任,遺産分割調停や労働審判を申し立てられた際の委任,その他訴状を受け取った際の委任,遺言書作成の委任,後見申立の委任,刑事弁護の委任等を挙げてきました。そして,実際にどのような弁護士を探して,費用をどのようにして決めるのかといった点についても述べてきました。

3 予防法務として

前述のような,ことが起こってから弁護士を使う場面については皆様もご存知のことと思います。それよりも,私が伝えたかったのは,ことが起こる前の弁護士の使い方です。法律相談を受けていると,もっと早く弁護士に相談してほしかったと思うことが多々あります。「もっと早く証拠収集の指示ができたのに」とか「その請求には応じなくてよかったのに」といった回答を何度したかわかりません。もちろん,過ぎたことは仕方ありませんので,そこからどうしていくかを考えるわけですが,私にとっても何ともいえない悔しさを感じるところです。とりあえずの参考に,弁護士の意見を聞いてみてください。契約書チェックも予防法務のひとつです。契約交渉を依頼しなくとも,事前に契約内容を噛み砕いて説明してもらうことは必要です。事前に契約内容のデメリットを把握しておくことで,ことが起こった際の対応が変わってきます。

4 自治体法律相談

大阪弁護士会の場合,弁護士会から派遣されて自治体の無料法律相談を担当します。もちろん自治体によるのですが,当日午前中に予約受付開始する自治体であっても,午後の予約枠が埋まっているケースがざらにあります。私の感覚では,自治体相談は,弁護士に依頼する場としてではなく弁護士の意見を聞いてみる場として利用されている印象です。

5 事務所法律相談

他方,事務所に持ち込まれる相談は,ことが起こってからの相談がほとんどです。やはり,法律事務所は,ことが起こってからでないと利用しづらいようです。法律事務所に相談に行くと,委任しない限り帰らせてもらえないと思われているようです。無料相談を受け付けている事務所もたくさんありますし,弊事務所も読者の方の紹介であれば初回相談無料です。弁護士の意見を聞いてみる場として,法律事務所も利用していただきたいと思います。

 

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。

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