[63]弁護士の活用法

平成30年11月20日

弁護士   藤 野  恵 介

1 御礼

5年以上にわたりご愛読いただき有難うございました。弁護士の活用法を広めたいという一心で続けて参りました。当コラムを読んで弁護士を身近に感じていただけたのなら,この上ない喜びです。連載最後にもう一度,ざっと弁護士活用法を挙げてみます。

2 契約交渉依頼

皆様の中にも,確かな権限のない仲介者と交渉したために,貴重な時間を無駄にした経験のある方は多いのではないでしょうか。長年付き合いのある取引先であれば,既に信頼関係が出来上がっています。しかし,付き合いの浅い取引先との交渉では,新たな信頼関係が必要です。きちんとした会社ほど,交渉相手がいわゆる事件屋や反社会的勢力ではないか注意します。また,不当な要求をする会社だと思われると,今後の取引も円滑にすすみません。そういう時に,弁護士に契約交渉を依頼してみてはいかがでしょうか。既に交渉が順調に進んでいる場合には,却って弁護士が入ることで緊張感が生まれてしまう側面もあります。しかし,いわゆる事件屋ではなく適法に代理権を持った弁護士が交渉相手になるということで,交渉相手が安心してくれることも多々あります。

3 契約書翻訳

契約内容はきちんと把握できているでしょうか。代金や納期は当然のこととして,リスクについて把握できていない方が多い印象です。契約書の存在しない取引もざらにあります。問題なく取引できているときには契約書など必要ないのかも知れません。しかし,いざ納品が遅れたり支払いが遅れたりしたときに,契約解除の可否や違約金発生の有無等が重要になります。自分で契約書の内容を確認するのが面倒なときに,弁護士に翻訳してもらってください。調印前の交渉段階から弁護士を活用することもできますが,調印後であっても,ご自身の締結した契約書の内容を噛み砕いて説明してもらうことでリスクが把握できます。

4 交通事故被害

交通事故に遭った際の保険会社との交渉は,弁護士に依頼してください。保険会社は,弁護士が入ると裁判を意識しますので,自社独自の基準ではなく裁判所が参考にするであろう基準で計算した示談金額を提案します。そうすると,もちろん事案にもよるのですが,自社の基準で計算した示談金額よりも多額になることが多いです。まずは法律相談で大まかな金額を弁護士に算出してもらい,もし金額が上がるようであれば交渉を依頼するというのが賢い活用法です。

5 まず相談を

法律相談料が有料であれ無料であれ,相談だけ活用して正式に依頼せずに帰るのは依頼者の自由です。怖がらず,法律事務所を訪ねて弁護士を活用してください。

 

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。

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