[19]弁護士を使いやすい時期は

平成26年12月25日

弁護士   藤 野  恵 介

答え  裁判所が休みの時期です。

1 ご挨拶

明けましておめでとうございます。本欄を担当させていただいて2回目のお正月です。これまで,弁護士へ親しみを感じていただけるように,弁護士の生活等について赤裸々に述べてきたつもりですが,いかがでしょうか。今年も,経営者の方々のみならず,従業員の方々にも起こり得る問題を例に,弁護士の使い方を提案できればと思っています。引き続き宜しくお願い致します。

2 弁護士の日常

新年最初の回ということで,初心に帰ったテーマにしました。まず,弁護士がどのような生活をしているか想像していただきたいと思います。弁護士は,裁判があれば法廷へ出向き,法廷へ行かない時間に依頼者と打合せをし,依頼者との打合せの無い時間をぬって文書作成をします。裁判が重なれば,その分裁判所と事務所との間を往復する時間が増え,打合せや文書作成にかける時間が不足していきます。これは,法廷へ行く時間が減れば,打合せや文書作成にゆっくり時間をかけられることを意味します。

3 使いやすい時期

弁護士が速やかに動いてくれたり,ゆっくり話をきいてくれたりする時期が「弁護士を使いやすい時期」といえるでしょう。そのためには,弁護士の閑散期を知っていただきたいと思います。それは,裁判所が休みの時期です。裁判官も裁判所職員も公務員ですので,暦どおりに休みます。したがって,正月休みはもちろん閑散期にあたります。しかし,正月休みは,弁護士の方が,年末に駆け込みで持ち込まれた案件の処理で疲れ切っており,「使いやすい時期」とはいえません。次に,暦の上での休日以外にも裁判所が休廷する期間があります。それはお盆の前後です。この期間は,裁判所の半分の部がお盆前2週間,残りの部がお盆後2週間休廷します。したがって,自分の案件がちょうど休廷期間中の部にあたれば,弁護士は,その期間は裁判所に行かずに済みます。ただ,弁護士がお盆休みをとるため,結局「使いやすい時期」とはいえません。

4 ねらい目

裁判所が休廷はしないものの動きが鈍る時期があります。それは異動の時期です。3月になると,裁判所は異動の準備に入りますので,裁判期日が設定されづらくなります。そして,4月には新たな裁判官が異動してきますが,いかに裁判官であっても,自分が新たに担当する事件の記録を直ちに読み込むことはできません。したがって,事件の進行は遅くなります。そうなると,当然ながら弁護士の訴訟準備の負担も軽減されます。したがって,4月前後は,比較的心にゆとりのある弁護士が多いのではないでしょうか。弁護士には異動がありませんので,この時期に遠慮なく相談してみてください。

※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。