平成27年01月21日
弁護士 藤 野 恵 介
答え 必ず相談すべきです。
1 意外
同窓会などに参加して自己紹介すると,「藤野にどういうときに相談したらいいのか」と聞かれます。その際に,「交通事故に遭ってしまったときとか」と言うと,たいていの友人は意外に思うようです。しかし,弁護士に相談すべき場合として私が一番自信を持って挙げるのは,交通事故に遭ったときです。その理由は,弁護士が保険会社と交渉することで,ほぼ間違いなく支払われる金額が増額するからです。
2 いつ相談するか
遅くとも示談書に署名押印する前の段階で,その内容で署名押印して保険金を受け取って最終決着としてよいのかどうかを相談してください。
3 2重の基準
交通事故は数が多いため,保険会社は,被害者に保険金を支払う際の保険金額算定基準を定めています。その社内の基準に沿って被害者に保険金を支払います。他方,交通事故のように数の多い事件については,裁判所も基準を定めています。ポイントは,この裁判所の基準と保険会社の基準は異なった定め方をしており,裁判所の基準で計算する方が保険会社の基準で計算するよりも保険金額が高額になる点です。
4 増額の仕組み
被害者が弁護士に依頼すると,保険会社は,訴訟になることを覚悟します。そして,訴訟になれば裁判所の基準で金額が決定されることが目に見えています。そうすると,保険会社は,どうせ裁判所の基準で支払うことになるのであれば,ある程度裁判所の基準に近い金額であっても示談に応じようと考えるようです。
5 弁護士費用特約
通常,保険金は,加害者の加入している任意保険会社から支払われます。したがって,弁護士に依頼して加害者の加入している任意保険会社と交渉してもらうわけですが,その弁護士の報酬等を被害者加入の保険で賄うことができる場合があります。あまり知られていませんが,この特約は,かなり普及しています。特約を利用しても保険料は上らない場合がほとんどです。保険料を支払っているのですから,利用しない手はありません。しかも,家族であれば利用できたり,同乗者であれば利用できたり,交通事故以外の家庭での事故でも利用できたりと,適用範囲が広いのもこの特約の特徴ですので,有事の際には,必ずご自身の保険会社に問い合わせてください。
6 以上のとおりですが,私は,保険会社が裁判所と異なる基準を設けている点が問題で,とても不公平だと思います。被害の内容によりますが,弁護士費用を支払ってでも十分にもとがとれる場合が多いですので,ぜひ弁護士に相談してください。
※なお,ここでの記述は,あくまでも私個人の意見ですので,その点,ご了解ください。